田んぼの生き物調査

田んぼの生きものを守るため、その生育実態を組合員や生産者が連携し、コープ自然派各生協で取り組み調査しています。これは、組合員や地域に住む人々にとって、農業が地域の環境保全に貢献し、「いのちを守る大切な農業」であることを知るよい機会となります。

 また、生きものが増えると田んぼの生態系が豊かになり、安全な米作りを行うための条件が整います。調査を行うことで、農薬や化学肥料に頼らないおいしいお米づくりを、生産者や組合員が一緒になって確認することができます。

 コープ自然派では、この取り組みを継続的に進めるため、田んぼの生き物調査を実施しているお米には「田んぼの生き物調査米」ブランドとしてカタログにマークを表示、さらに、年間予約登録制度を設け、生物多様性を守る取り組みを行う生産者を買い支えています。

調査内容

① 生息環境調査….計測機による調査

   ・気温、水温、水深、緯度経度(GPS測定)、ph
   ・電気伝導度(電気を伝える物質の量=化学肥料の使用の尺度)
   ・溶存酸素(水中の酸素量=水質汚濁の尺度)
   ・酸化還元電位(土中の酸素量=有機栽培は高くなる)

② カエル調査、イトミミズ、ユスリカ調査

   a. カエル(田んぼ周辺の畔にいる生息数) 
     ※カエルが多い=害虫の天敵としての役割。大型動物の餌(コウノトリ、ナベヅル)
     ※カエル、おたまじゃくしが死ぬ=稲の肥料。
   b. イトミミズ、ユスリカ調査(表層と土中の生息数)
     ※生息数が多い=生き物が棲める環境、食物連鎖の裾野。
     ※イトミミズが多い=土壌を柔らかくする(トロトロ層の形成)=抑草効果

③ 生き物探し ★現在はこの③の取り組みに注力しています。

   組合員と一緒に生き物探し(田んぼ、水路、周辺(上空など))

県内3か所で取り組みしています。

① 兵庫県豊岡市「コウノトリ育むお米」

2006年兵庫県豊岡市にコープ自然派各生協から役職員が集まり、NPOたんぼ代表の岩淵氏等からレクチャーを受け、その後コープ自然派各地で活動が拡がりました。「田んぼの生き物調査」活動を通じて、コープ自然派各地域で生協開発米が誕生しました。 コープ自然派兵庫では、2006年以降、多様な生き物が棲み、それを餌にするコウノトリを育む田んぼのすばらしさを、夏と秋の2回、多くの参加者が体験しています。

② 神戸市西区「なでしこ米」

2010年から、都市と農村の共生を掲げる神戸市西区上津橋地区の生産者とNPO法人農・都共生ネットこうべとの共催で「田んぼの楽校」を開校しています。温湯消毒から種まき・田植え・稲刈り・脱穀・収穫祭まで年間を通じてお米作りを行っています。2015年度には、前年に収穫した種もみを使う(種をつなぐ)取り組みが実現、2016年度は水田魚道も設定、生き物が棲む田んぼづくりに取り組んでいます。

③ 兵庫県たつの市「ゆうやけこやけ米」

2016年度から、童謡の里たつので取り組みを開始しました。生産者の揖龍地域稲作経営研究会では2013年から農薬や化学肥料の削減に取り組み、2015年からは農薬を使用せずに栽培されています。すでにコウノトリが飛来している四国の中継地として兵庫県南部は期待されます。兵庫県農政環境部の西村いつきさんの紹介で、コープ自然派の「田んぼの生き物調査」と連携して地域に生き物が棲む田んぼづくりが始まりました。